自動車、運転データは誰のものか
ここでも情報に関する論議です。
個々人の情報は全て、個人に帰属すると思っています。
すでにいろんなところからデータは収集され続けています。その活用法が膨大であり、さらにそれにより利益を得ることが企業にはできますから。
こと車となると、関連企業は無数となります。また、この記事によりその利用も納得できる所があります。議論が始まったばかり、今後どうなるのでしょうか?
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欧州では、企業が自動車メーカーにドライバーデータの共有を要請 (和訳)
In Europe, Businesses Push Carmakers to Share Driver Data
Mar 23,2022
自動車は、人々がどのように運転し、運転中に何をしているかという情報をより多く収集しています。
その自動車は、ドライバーが聴く音楽や、運転の良い習慣、悪い習慣などの情報を集めます。
コンピューター・プロセッサーとインターネット接続を備えた自動車は、より多く路上を走るようになっています。自動車メーカーはもちろん、情報技術企業にとっても、収集したデータは貴重なものです。
欧州では、欧州委員会の関係者が、自動車メーカーが自動車ビジネスに関わる他社に情報をいかに提供するかについて規則を設けるよう求めていると報じられています。
例えば、自動車修理工場、保険会社、リース会社などは皆、ドライバーから収集した情報を欲しがっています。しかし、大手自動車メーカーは、そのデータを他社と共有することに確信がないように見えるケースもあります。
ある評論家は、自動車メーカーは”ゲートキーパー(門番)”であり、アクセス料を他社に請求することで利益を得ようとする、と述べています。課金が高すぎると、競争が制限されるでしょう。例えば、独立系の修理工場は、車のコンピューターに保存された情報を見ることができなければ、車を修理することができなくなることを心配しています。その代わり、ドライバーはメーカーが所有するサービスセンターへ行くことになります。
シルヴィア・ゴッツェン氏は、ヨーロッパの修理工場と自動車部品メーカーを代表するFIGIEFAという業界団体を率いています。彼女は、自動車メーカーが利用可能なデータの全量を得る一方で、彼女が代表する企業は "パンくず "を得るのだと言っています。
しかし、ヨーロッパの自動車メーカーは、共有する情報の量を制限することで、ドライバーを保護する必要があると言います。欧州自動車工業会の広報担当者は、”無秩序なアクセス”は安全性と個人情報セキュリティの脅威であると述べています。
ステラントス社、ゼネラルモーターズ社、フォルクスワーゲン社は、ドライバーのデータから利益を得ることを計画している自動車メーカーです。ドライバーが購入できるコンピューター・プログラムを作成するところもあります。
BMWは、アクセス制限に同意していません。ドライバーの許可があれば、100の”データポイント”、つまり情報の種類を独立した組織と共有することができると、ドイツの自動車メーカーは言っています。しかし、FIGIEFAによると、今日の自動車は何千ものデータポイントを生成していると言います。
BMW社は、欧州委員会などの団体が主催する会議を開いて、誰もが合意できる自動車のデータポイントのリストを作りたいと述べています。
ステランティス社の責任者は、自動車からのデータが都市の安全性を高めるのに役立つという例を挙げています。ステランティス社の社長は、車のブレーキから得られるデータから、その街で最も緊急停止が多い交差点を割り出すことができると言います。しかし、このような調査にはコストがかかるとも付け加えています。
※Stellantis社:2021年、伊自動車メーカーFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)と、仏自動車グループのPSA(プジョーシトロエン)の2社の対等合弁から生まれた新会社。
もう一つのデータ利用法は、優秀なドライバーに報酬を与える方法です。自動車メーカーは、車のブレーキの速さやスピードの出し方などの情報を保険会社に送ることができます。その情報を使って、優秀なドライバーの保険料を下げることができるのです。
また、カーシェアリング会社には、独立系と大手自動車会社が所有する会社があります。独立系の会社は、データに対して他の会社と同じ金額を支払っていることを確認したいと言っています。
ニコラ・ジャンマート氏はInsurance Europeを率いています。彼は、自動車メーカーは、誰が自分のデータを取得するかをドライバーに管理させる必要があると述べています。
「人々は自動車メーカーの手にこれらのデータを委ねることはできない。」と彼は言います。
自動車メーカーが所有者にすべての情報へのアクセスを許可すれば、修理工場はインターネット接続からデータにアクセスできるようになると、FIGIEFAのゴッツェン氏は言います。検査には時間がかかり、費用もかさむので、そうなれば車の所有者の時間とお金の節約になります。
「これらはすべて技術的には可能です。」と彼女は言います。しかし、「自動車メーカーがこれを妨げている 」と付け加えています。
専門家の一人、リチャード・クヌベン氏は、この議論は遅すぎるかもしれないと指摘します。彼は、独立系の自動車修理工場が、今すぐデータにアクセスできないために廃業の危機に瀕しているかもしれないと指摘します。
「法制化される頃には、もう修正不可能なアンバランスに陥っているかもしれなません。」と彼は言います。