パルス・プラズマ・ロケット(PPR)と呼ばれる新しいエンジンが火星への旅を大幅に短縮してくれるそうです。
また、このようなシステムは、より重い宇宙船を推進し、宇宙のより遠い地域へのより長い旅をサポートすることができると言います。
銀河への夢が現実になる日もそう遠くないのかもしれませんね!!
- New Rocket Engine Could Cut Travel Time to Mars from Years to Months
- 新ロケットエンジンで火星への所要時間を数年から数ヶ月に短縮可能(和訳)
New Rocket Engine Could Cut Travel Time to Mars from Years to Months
Words in This Story
efficient – adj. working well and not wasting time or energy
propulsion – n. a force that pushes something forward
plasma – n. a collection of charged particles
potential – n. possible
phase – n. a specific period during which something happens
新ロケットエンジンで火星への所要時間を数年から数ヶ月に短縮可能(和訳)
民間企業がアメリカの宇宙機関NASAと共同で、宇宙旅行時間を大幅に短縮できる新型ロケットの開発に取り組んでいます。
このようなロケットのエンジンは、宇宙旅行を加速させ、ロケットの効率を向上させるために、推力thrustを大幅に増加させるように設計されています。
推力とは、宇宙船を空中に押し出す力のことです。推進システムpropulsion systemによって生み出されます。一般的には宇宙船の後方から推力を発生させ、高速で前方に動かすpropelためにガスや液体燃料を燃焼させます。
パルス・プラズマ・ロケット(PPR)と呼ばれる新しい設計は、アリゾナ州を拠点とするハウ・インダストリーズ社によって開発されています。同社は現在、実用エンジン・モデルworking engine modelsを製作する前に、この技術を研究している初期段階にあります。
ハウ・インダストリーズ社は最近の声明で、このようなロケット技術は、NASAが月に人類を帰還させる計画をサポートするために必要であり、その後、火星にも可能性があると述べています。宇宙機関はまた、宇宙に長期基地を建設するという目標を掲げています。しかし、これらすべての計画に対する障壁のひとつは、現在の宇宙船システムで必要な長い移動時間です。
この画像は、アリゾナ州を拠点とするハウ・インダストリーズ社が開発中のパルス・プラズマ・ロケットのコンセプト (画像出典:ハウ・インダストリーズ)
NASAは、月が地球から平均約382,500km離れていると推定しています。正確な距離は、月が地球を回る軌道のために変化します。地球から火星までの平均距離は2億2,500万kmです。
NASAによれば、既存の宇宙船で火星に行くには、片道少なくとも200日はかかると言います。提案されているパルス・プラズマ・ロケットの開発者は、赤い惑星までの移動時間を片道約2ヶ月に短縮できると述べています。
ハウ・インダストリーズ社によれば、その新しい設計により、ロケットは”合理的な”宇宙旅行時間を完了するために極めて高速に到達する能力を備えている言っています。開発チームは、そのPPRシステムが最大100,000Nの推力を生み出すと見積もっています。数字の最後の’N’はニュートンを表し、推力の測定単位です。
NASAは、宇宙ロケット打ち上げシステム(SLS)を史上最強のものとしています。同機関によると、SLSロケットシステムは宇宙旅行中に53N近い推力を提供する見込みだと言っています。
この図は、アルテミスミッションで宇宙飛行士を月へ送るNASAの新型ロケット、スペース・ローンチ・システム(SLS)のブロック1クルービークルのセットアップを示す。ロケットの初飛行となるアルテミスIミッションでは、未搭乗のオリ宇宙飛行士を月へ送り込む。
PPRの開発者によれば、推力の大幅な増加に加え、新しい設計では「比推力」が5,000になると言います。比推力とは、ロケットエンジンの推力と効率レベルを秒単位で測定する方法です。比推力が高ければ高いほど、ロケットシステムの効率が高いことを意味します。これに比べ、SLSロケットの比推力は500以下です。
※比推力=推力/推進剤重量消費率
比推力の単位は時間の単位となり,単位推力を単位重量の 推進剤で維持できる時間となる.噴射ガスの排気速度を重 力加速度で割った値も等しい値を示すので,この定義も比 推力として使用される.比推力が高いほど,多くのペイロ ードを軌道に投入できるので,性能がよいエンジンと評価 される.
(I-stage 比推力と推力より
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kjsass/53/619/53_256/_pdf/-char/ja
ハウ社の関係者は、PPRはパルス核分裂融合pulsed fission fusionとして知られる別のプラズマベースの技術に基づいていると述べています。NASAによると、このプロセスではプラズマを素早く高圧にし、推力を生み出すと言っています。しかし開発者によれば、PPRシステムはより小型でシンプルであり、運用コストも少なくて済むと言います。
この技術を紹介したハウ氏の声明によると、極めて高い推力と高い比推力率の組み合わせは、”宇宙探査に革命を起こす可能性を秘めている ”と言っています。
研究チームは、このようなシステムは、より重い宇宙船を推進し、宇宙のより遠い地域へのより長い旅をサポートすることができるはずだと述べています。計画されているシステムは、銀河宇宙線Galactic Cosmic Raysから宇宙飛行士を守るために、宇宙船に重いシールドを装備することを容易にする可能性もあります。銀河宇宙線とは、宇宙空間をほぼ光速で移動する高エネルギーの粒子です。この光線は、大量に浴びると人体に有害となるのです。
PPRプロジェクトは、NASAの一連の開発プロジェクトのひとつで、最近、継続的な実行のための追加資金援助を受けました。これらのプロジェクトは、革新的先端概念Innovative Advanced Concepts (NIAC)と呼ばれるNASAのプログラムの一部です。
PPRは現在、開発フェーズIにあります。チームは、もしNASAがフェーズIIを継続することを決めた場合、提案されたエンジンの性能向上と主要なエンジンシステムに関する実験が中心になると述べています。最終段階では、火星に人類を運ぶための宇宙船の設計を完成させる予定です。