我思う故に我あり

日常で感じたこと、考えたことを綴ります。

ウクライナをめぐる緊張:米露会談

歯軋りすること何万回でしょう。

NATO加盟のヨーロッパ諸国はロシアからのガスパイプラインを頼りにしています。経済活動の要を抑えられているのです。それをロシアに委ねるなど、想像もできません。

ウクライナカザフスタン問題で拗れている西側代表の米国とロシアとの関係で、ロシアにNATOとして立ち向かうことができるのでしょうか。

NATO事務総長の言葉は非力にしか聞こえませんし、ロシアの要求は、甚だ受けられません。

ロシアはどうしてもウクライナ首都・キエフを手に入れたいのです。キエフへのこだわりは、歴史的背景があります。それを利用して、中国と手を組んで西側を崩壊させる道への口実を狙っているようにしか見えません。中国は、清朝時代に抱え込んだウイグルチベットを解放せずに抱え込んだまま、現在弾圧、崩壊させています。相通じるところがあります。

中露、合わせて何発の核ミサイルがあるのでしょうか。

そんな恐怖を覚えるのは私だけでしょうか。

 

VOAで英語を学び、世界を知りましょう!!

 

 

 

 

米国とロシア、ウクライナをめぐる緊張緩和のための会談を開催(和訳)

US, Russia Hold Talks to Ease Tensions over Ukraine

January 10, 2022

learningenglish.voanews.com

 

米国とロシアは、スイスのジュネーブで、ウクライナをめぐる緊張を緩和するための交渉を開始しました。

しかし、双方はこの会談について悲観的な声明を発表しています。

ウェンディ・シャーマン米国務副長官とロシアのセルゲイ・リャブコフ外務副大臣による会談は、月曜日にジュネーブの米外交公館で始まりました。

米露関係は30年前の冷戦終結以来、最も緊迫した状態にある中で、この会談は行われています。

ジュネーブのロシア公館は、ソーシャルメディアサービス ツイッター で次のように述べています。「会談は長く、実質的なものになることを約束する 」と。

シャーマン氏はジュネーブからの先のツイートで、「米国はロシアの懸念に耳を傾け、我々自身の懸念を共有する」と述べています。同外交官は、欧州の安全保障に関する話し合いは他の同盟国抜きでは行われないと付け加えています。議論は今週末、ブリュッセルとウィーンでの会合に移る予定です。

10万人近いロシア軍がウクライナとの国境に届く範囲に集結していまう。米国とウクライナは、侵略の可能性を懸念しています。8年前、ロシアは旧ソビエト連邦からクリミア半島を奪取しました。

ロシアは侵攻計画を否定しています。同国の当局者は、ロシアがNATO軍事同盟とウクライナからの攻撃的な行動と呼ぶものに答えていると述べています。ウクライナは西側諸国と友好的で、NATOへの加盟を熱望しています。

先月、ロシアは米国とその同盟国に対し、主要な安全保障上の要求を提示しました。ロシアは、NATOのさらなる拡張を禁止することを望んでいます。また、1997年以降に加盟した中・東欧諸国における同盟の活動を停止することも求めています。

米国とNATOの同盟国は、ロシアの提案の大部分は非開始事項であると述べています。

 

”我々は法的保証が必要”

 

リャブコフ氏はRIA通信に対し、ロシアは会談を軍事演習とミサイル配備の議論に限定しようとする米国の試みを受け入れないだろうと述べています。ジョー・バイデン米政権が話し合おうとしているのは、そうした問題です。

US Deputy Secretary of State Wendy Sherman, left, and Russian deputy Foreign Minister Sergei Ryabkov, right, attend security talks at the United States Mission at the United States Mission in Geneva, Switzerland, Jan. 10, 2022. (AP)

US Deputy Secretary of State Wendy Sherman, left, and Russian deputy Foreign Minister Sergei Ryabkov, right, attend security talks at the United States Mission at the United States Mission in Geneva, Switzerland, Jan. 10, 2022. (AP)スイス・ジュネーブの米国公館で安全保障協議に臨むウェンディ・シャーマン米国務副長官(左)とセルゲイ・リャブコフ露外務次官(右)(2022年1月10日撮影)。(AP通信)
リャブコフ氏はこのように述べています:「我々が必要なのは、NATOの非拡大と1997年以降に同盟が作り出した全てのものの撤廃の法的保証である。」と。

ロシアは過去30年間、柔軟性を示そうとしてきたが、そろそろ相手側も柔軟性を持つべきであると彼は言っています。「これができなければ、自国の安全保障が悪化する事態に直面するだろう。」

また、先週カザフスタンで起きた反乱の後、ロシアが軍隊を派遣したことについても、両者の意見は一致していません。また、EUの国境で起きている移民問題で、ロシアがベラルーシを支援していることも懸念材料となっています。そして、米国当局は、ロシアがヨーロッパにガスを供給していることにも懸念を抱いています。米政府関係者は、ロシアが近隣諸国に対して政治的な力を得るための手段であると懸念しているのです。

NATOイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、水曜日にブリュッセルでロシア側と会談する予定です。彼は、ロシアと西側は紛争を回避するための道筋を見つけることができると述べています。

「我々が望んでいるのは、我々が前進する方法に同意できること、一連の会議に同意できること、プロセスに同意できることです。」とストルテンベルグ氏は述べています。

ウクライナのオルガ・ステファニシナ副首相は、ストルテンベルグ氏と共に登場しました。彼女は、ロシアは戦車がウクライナの国境付近に残っている間、条件を付けるべきではないと述べています。

 

"ウクライナは存在しなければならない"

 

キエフの街角では、なぜ自国が直接会談に参加しないのかと疑問の声が上がっています。

「こんなことではいけないと思う」と、オレと名乗る59歳の男性は言っいます。「ウクライナは他の国より関心があるのだから、会議に真っ先に出席しなければならない。」

ロシアは、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領を実行可能な交渉相手として拒否しています。しかし、米国をはじめとする西側諸国政府は、ウクライナの主権と領有権を全面的に支持すると述べています。

ウクライナNATOのメンバーではないので、同盟国に防衛を期待することはできません。しかしバイデン氏は、ロシアのプーチン大統領に対し、ロシアがウクライナへの侵攻を選択した場合、米国とヨーロッパの同盟国は強い罰を科すだろうと繰り返し警告しています。プーチン氏は、新たな規制は "関係の完全な崩壊 "につながる可能性があると述べています。

 

 

 

 

US, Russia Hold Talks to Ease Tensions over Ukraine

US Deputy Secretary of State Wendy Sherman, left, and Russian deputy foreign minister Sergei Ryabkov attend security talks at the United States Mission in Geneva, Switzerland, Monday, Jan. 10, 2022. (Denis Balibouse/Pool via AP)

The United States and Russia have begun negotiations in Geneva, Switzerland meant to ease tensions over Ukraine.

But the two sides have issued pessimistic statements about the talks.

The talks between Deputy U.S. Secretary of State Wendy Sherman and Russian Deputy Foreign Minister Sergei Ryabkov began Monday at the U.S. diplomatic mission in Geneva.

The talks are taking place while U.S.-Russia relations are at their most tense since the Cold War ended 30 years ago.

The Russian diplomatic mission in Geneva said on the social media service Twitter: "The talks promise to be long and substantial."

Sherman said, "The U.S. will listen to Russia's concerns and share our own" in an earlier tweet from Geneva. The U.S. diplomat added that no discussions on European security would be held without other allies. Discussions will move to meetings in Brussels and Vienna later this week.

Nearly 100,000 Russian troops have gathered within reach of the border with Ukraine. The U.S. and Ukraine are concerned about a possible invasion. Eight years ago, Russia seized the Crimea Peninsula from the former Soviet republic.

Russia denies invasion plans. The country’s officials have said Russia is answering, what it calls, aggressive behavior from the NATO military alliance and Ukraine. Ukraine is friendly with the West and aspires to join NATO.

Last month, Russia presented major security demands to the United States and its allies. Russia wants a ban on further NATO expansion. It also wants an end to the alliance's activity in Central and Eastern European countries that joined it after 1997.

The United States and NATO allies have said large parts of the Russian proposals are nonstarters.

“We need legal guarantees”

Ryabkov told R.I.A. news agency that Russia would not accept U.S. attempts to limit the talks to discussion of military exercises and missile deployments. Those are the issues that the administration of U.S. President Joe Biden is willing to discuss.

US Deputy Secretary of State Wendy Sherman, left, and Russian deputy Foreign Minister Sergei Ryabkov, right, attend security talks at the United States Mission at the United States Mission in Geneva, Switzerland, Jan. 10, 2022. (AP)
US Deputy Secretary of State Wendy Sherman, left, and Russian deputy Foreign Minister Sergei Ryabkov, right, attend security talks at the United States Mission at the United States Mission in Geneva, Switzerland, Jan. 10, 2022. (AP)


Ryabkov said: "We need legal guarantees of the non-expansion of NATO and the elimination of everything that the alliance has created since 1997."

Russia had tried to show flexibility for the past 30 years and it was time for the other side to be flexible, he said. "If they are unable to do this, they will face a worsening situation in their own security."

The two sides also disagree over Russia's deployment of troops in Kazakhstan after an uprising there last week. Another issue of concern is Russia’s support for Belarus in a migrant crisis on the EU's border. And U.S. officials are also concerned about Russia's supplying of gas to Europe. U.S. officials worry it is a way for Russia to gain political power over its neighbors.

NATO Secretary General Jens Stoltenberg will meet the Russian team on Wednesday in Brussels. He said Russia and the West could find a pathway to avoid conflict.

"What we are hoping for is that we can agree on a way forward, that we can agree on a series of meetings, that we can agree on a process," Stoltenberg said.

Ukraine's Deputy Prime Minister Olga Stefanishyna appeared with Stoltenberg. She said Russia should not set conditions while its tanks remained near the Ukrainian border.

“Ukraine must be present”

On the streets of Kyiv, people questioned why their country was not involved directly in the talks.

"I think it should not be this way," said a 59-year-old man who gave his name as Oleh. "Ukraine must be present during those meetings because it is a more interested party than other countries...Ukraine must be sitting in the first row."

Russia has rejected Ukrainian President Volodymr Zelenskiy as a viable negotiating partner. However, the United States and other western governments have said they fully support Ukraine's sovereignty and territorial rights.

Ukraine is not a NATO member. It cannot expect alliance members to defend it. But Biden has repeatedly warned Russian President Vladimir Putin that the United States and European allies would impose strong punishments if Russia chose to invade Ukraine. Putin has said new restrictions could lead to a "complete breakdown in ties."

 

 

 

 

Words in This Story

 

pessimistic –adj. having or showing a lack of hope for the future; expecting bad things to happen

aspire –v. to want to reach a goal, to have or gain something

nonstarter –n. something that will not be effective or successful

elimination –n. the removal of something

flexibility –n. willing to change or to try something different

row –n. a line of seats in a theater (front row, first row: the first line of seats in a theater nearest the performance)

sovereignty –n. a country’s independent authority and right to govern itself

 [US] sɑ́vərənti 

 

 

ロシアがクリミアに拘る背景とは

 

ippjapan.org

黒川 祐次 元駐ウクライナ大使

2020年8月26日 更新2020年9月9日

 

ウクライナの地域には、今から1000年以上も前の中世時代に、(現在のウクライナの首都)キエフを中心としたキエフ・ルーシ大公国という、中世ヨーロッパに燦然と輝く大国があった。その黄金期にヴォロディーミル聖公(在位978〜1015年)という大公が出て、中世ヨーロッパのキリスト教世界の中でも、コンスタンチノープルを中心とした正教会を取り入れキリスト教国家となった。

中略

キエフ・ルーシの時代は、正教会の中心(キエフ府主教)もキエフにあったが、キエフの衰退とモスクワの興隆によって、正教会の中心がキエフを離れモスクワに移動するようになった。1326年には、「キエフ府主教座」が最終的かつ恒久的にモスクワに置かれることとなった。

その後、17世紀後半(1686年)にロシア正教会ウクライナ正教会モスクワ総主教座の下に置くとの決定をコンスタンチノープル総主教に認めさせ、それ以来ウクライナ正教会ロシア正教会の管轄下におかれるようになった。

中略

ところが、2014年にロシアによるクリミア併合が行われたときに、自国の領土を奪取した国の教会が自国の教会を支配し続けるのは許せないとの声が高まり、当時のポロシェンコ大統領もその動きを支持してそれを後押しした。しかしロシアのプーチン大統領これに真っ向から反対した。

中略

正教会は政治と密接に結びついている教会なので、こうしたウクライナ正教会独立問題は、宗教レベルの話にとどまらず、ポロシェンコ大統領を中心とするウクライナ政府とプーチン大統領を中心とするロシア政府との政治的な争いまで巻き込むこととなった。
 その後、2018年10月のコンスタンチノープル総主教庁の教会会議において、ウクライナ正教会への自治権が認められ、併せてキエフ府主教区をモスクワ総主教座に委ねるとした1686年の決定が取り消された。
 2019年1月、バルトロメオス1世・コンスタンチノープル総主教は、ウクライナ正教会ロシア正教会からの独立を認める正式文書(トモス)に署名してウクライナ正教会の府主教に授け、同年4月にはポロシェンコ大統領、最高会議議員、ウクライナ正教会の聖職者などが署名して、キエフ府主教座の独立が正式に認められたのである。
 これによってウクライナは、1991年の政治的独立に加えて、ようやく宗教的独立も果たすことができたのである。他方ロシアにとっては、政治に続いて宗教の面でもウクライナがロシアから独立することになるので、「キエフ・ルーシの継承国ロシア」という国家の正統性が問われかねない事態ともなっている。

 

ウクライナ(クリミア)に対するロシア人の特別な感情

指導者、とくにプーチン大統領は、ソ連がみじめにも解体し分裂してしまったことに対して後悔の念を持っており、「ロシアは世界に冠たる大国であって、その位置に戻らないといけない。そのためには、やはりウクライナが何らかの形で戻ってくる必要がある」と考えている。

キエフ・ルーシの時代からロシアとウクライナは一体不可分の関係だったのに、ソ連崩壊後)分離独立してしまった。これはあってはならないことであって、元の姿に戻るべきだ。キルギスアゼルバイジャンなど(ソ連から同じように独立した)コーカサスの諸国は、ロシアとは民族、宗教も違う国々である。しかしロシア人にとってウクライナは、西ヨーロッパに一番近いところに位置し、同じスラブ民族であり、文化・言語・宗教も似ているうえ、ロシア系住民がウクライナの約2割を占める。そのようなウクライナがロシアから離れていくことは耐えられない。
 こうした感情は、社会のトップ層から庶民に至るまで共通したものだ。つまりロシア人の素朴な心情においてウクライナ人とは、「われわれの兄弟」という感覚なのである。兄弟(兄がロシアで、ウクライナは弟)なのだから、別れても戻って来いというわけだ。恐らく旧ソ連の中でも、一番気心が知れた国がウクライナであった。
 さらに深い心理的レベルでいうと、自分たちよりも「よりヨーロッパ的」な要素を持つウクライナが離れてしまうと、ロシアはより「非ヨーロッパ的(アジア的、モンゴル的)」になってしまいかねない。ロシア人の心の奥底には、自分たちはあくまでもヨーロッパ人だというアイデンティティがある。そのヨーロッパ的なものが、三分の一もなくなってしまう。それは耐えられない。
 普通のロシア人は、ヨーロッパ人でいたい。ところが、国の上層部の指導層は世界戦略の観点からアジアが重要だと主張する。しかし極東地域に住んでいるロシア人は、折あらばモスクワやサンクトペテルブルクに引っ越したいと思っている。ウクライナがなくなったら、ロシアはヨーロッパではないといわれかねない。

 

ウクライナには、宇宙開発の基地、戦車などの軍事産業、重工業などがあり、ロシアの産業にとっては、非常に重要な地域であった。ロシアにとっては欠くことのできないところである。

 

ウクライナが戻ってこない限り、ロシアはかつてのような大国に戻れないと考えているので、何とかウクライナを取りこもうとしている。もちろんそれが難しいことは分かっているが、少なくともウクライナNATOEUに一旦入ってしまうともう戻ってくることは不可能だから、それだけは阻止したい。それまでは押したり引いたり、あの手この手を使ってとどめおこうとしてきた。

 

クリミア併合の動機

 2013年、(親ロ派の)ヤヌコーヴィチ大統領(在職2010-2014年)はバランスを考えて、EUとの協力協定を結ぶことを国民に約束した。それを阻止しようとしたプーチン大統領は、強い圧力をかけヤヌコーヴィチ大統領に断念させた。
 そのことに対して怒ったウクライナの国民が抗議活動を起こした(2014年2月、ユーロマイダン革命)。キエフは騒乱状態となり、同大統領はロシアに亡命。新政府は親西欧路線を明確に表明した。
 こうなると何としても阻止しないといけないと強く考えたプーチン大統領は、クリミア併合の行動に出た。

ロシア軍の制圧の下、国際監視団もない中で行われた住民投票(2014年3月16日)であったので、かなり怪しいものだった。住民投票の結果(注:クリミア共和国中央選管の発表で、投票率83%、ロシアへの編入賛成96%)を受けて、3月18日ロシアはクリミア編入への条約に調印した。領土の支配を変更するためには、ウクライナ議会の了承も必要なのに、そのような憲法的手続きもないままにロシアは、一方的にクリミアを併合した。

中略

ウクライナ問題に、双方が短期的に満足するような「解」はない。他国の領土を一方的に占領することは、近代国際法の論理からするとあり得ないことであるから、ロシアは撤退すべきだが、プーチン大統領は全くその気はない。領土問題は一旦実効支配し既成事実化してしまうとなかなか解決しない。この点でクリミア問題を抱えるウクライナ北方領土を抱える日本は、同じような立場にあるともいえる。