我思う故に我あり

日常で感じたこと、考えたことを綴ります。

ドイツ、原発閉鎖の英断

インドネシアからの石炭の輸出が今月末までという期間限定ではありますが、ストップしたとのニュースが流れました。今後も続けば、電気代だけでなくほぼ全ての物の値段が上がることになります。

クリーンエネルギー議論が進んでいないように見えてなりません。原発に頼る日本エネルギー事情。廃棄方法も確立していないまま、どうして原発はスタートしたのでしょうか?

VOAで英語を学び、世界の今を学びましょう!!

 

 

 

 

ドイツ、残存する原発の半分を閉鎖(和訳)

Germany Closes Half of Remaining Nuclear Plants

learningenglish.voanews.com

 

ドイツは、残る6基の原子力発電所のうち3基を閉鎖しました。この動きは、2022年末までにすべての原子力発電所を閉鎖するという同国の目標に一歩近づきました。

3つの発電所(プラント)の運転は12月31日に停止されました。すべての発電所は1980年代半ばに運転を開始しました。

そのうちの1つ、ブロックドルフ原発ハンブルクの北西約40キロ、エルベ川のほとりにあります。1986年のソ連チェルノブイリ原発事故の影響で、過去にしばしば反原発デモに見舞われた場所でもあります。

先週閉鎖された他の原発は、ハノーバーの南約40キロにあるグローンデと、ミュンヘンの西80キロにあるグンドレミンゲンの2つです。同国の残る3つの原発は、2022年末までに運転を停止することになってます。

ドイツ政府は2011年の日本の福島原発事故後、原子力発電からの撤退を加速させることを決定しました。この事故は、地震と巨大な海の波によって引き起こされ、チェルノブイリ以来世界最悪の原子力災害となったのです。

This file photo shows a nuclear power plant located in Brokdorf, northern Germany, on Nov. 22, 2006. (AP Photo/Heribert Proepper, file)

This file photo shows a nuclear power plant located in Brokdorf, northern Germany, on Nov. 22, 2006. (AP Photo/Heribert Proepper, file)2006年11月22日、ドイツ北部のブロックドルフにある原子力発電所の写真(ファイル)。(AP写真/Heribert Proepper、ファイル)

 

ドイツでは、脱原発の決定を再考するよう政府に求める声が上がっています。原子力発電の支持者は、ドイツが温室効果ガスのレベルを下げるという気候変動目標を達成するのに役立つと主張しています。

しかし政府は最近、原子力発電所を閉鎖し、2030年までに石炭使用を終了しても、国のエネルギー安全保障や2045年までに経済を”気候ニュートラル”にするという目標には影響しない、と発表しています。

ドイツのエネルギー産業団体BDEWは、6基の原子力発電所が2021年に同国の電力の約12%を生産したと推定しています。再生可能エネルギーの割合は約41%で、石炭は28%でした。ガスの生産量は約15パーセントに達しました。

ドイツは風力や太陽光発電設備の拡充により、2030年までに再生可能エネルギーで電力需要の80%を賄うことを目指しています。

グンドレミンゲンのトビアス・ビューラー市長は、町の工場で雇用が失われる可能性について質問されました。同町長はロイターに対し、停止後は原子炉の解体に追われることになるだろうと述べています。

「そして、この解体の期間は確実にあと10年または20年かかるでしょう。」とビューラー氏は話します。ドイツの原子力発電会社は、原発の早期閉鎖により30億ドル近くを受け取ることになります。

シュテフィー・レムケ環境相は、新世代の原発がドイツを説得してその決定を再考させるかもしれないとの見方を否定しています。レムケ環境相はフンケ紙に対し、「原子力発電所は依然として、高放射能放射性廃棄物を生成するリスクの高い施設である」と述べています。

ドイツの発電所から出る何万トンもの放射性廃棄物をどこに保管するか、最終決定はまだ下りていません。専門家によれば、一部の物質は何世代にもわたって危険な放射能を保ったままだといいます。

 

 

 

 

Germany Closes Half of Remaining Nuclear Plants
This file photo shows the nuclear power station in Gundremmingen, southern Germany, on May 23, 2006. (AP Photo/Christof Stache, file)
 

 

Germany has closed three of its remaining six nuclear power stations. The move brings the country one step closer to its goal of closing all its nuclear power centers by the end of 2022.

Operations at the three stations, or plants, were halted on December 31. All the stations were first powered up in the mid-1980s.

One of them, the Brokdorf plant, sits about 40 kilometers northwest of Hamburg on the Elbe River. In the past, the site was often hit by anti-nuclear protests fueled by the 1986 Chernobyl nuclear disaster in the Soviet Union.

The other plants closed last week were Grohnde, about 40 kilometers south of Hannover, and Gundremmingen, which is 80 kilometers west of Munich. The country’s three remaining nuclear power plants are to stop operations by the end of 2022.

The German government decided to speed up its withdrawal from nuclear power after Japan’s Fukushima reactor accident in 2011. That accident, caused by an earthquake and huge ocean waves, resulted in the world’s worst nuclear disaster since Chernobyl.

This file photo shows a nuclear power plant located in Brokdorf, northern Germany, on Nov. 22, 2006. (AP Photo/Heribert Proepper, file)
This file photo shows a nuclear power plant located in Brokdorf, northern Germany, on Nov. 22, 2006. (AP Photo/Heribert Proepper, file)

 

Some in Germany have called on the government to reconsider its decision to end nuclear power. Supporters of the technology argue that it can help Germany meet its climate targets for reducing levels of greenhouse gases.

But the government said recently that closing the nuclear plants and ending coal use by 2030 will not affect the country’s energy security or its goal of making the economy “climate neutral” by 2045.

Germany’s energy industry group BDEW estimated the six nuclear power plants produced about 12 percent of the country’s electricity in 2021. The share of renewable energy was nearly 41 percent, while coal was 28 percent. Gas production amounted to about 15 percent.

Germany aims to make renewables meet 80 percent of power demand by 2030 through expanding wind and solar power equipment.

In this file photo, hooded violent demonstrators hurl rocks towards police water cannons behind the security fence surrounding the nuclear power plant in Brokdorf, Germany, on June 7, 1986. (AP Photo/Heribert Proepper, file)
In this file photo, hooded violent demonstrators hurl rocks towards police water cannons behind the security fence surrounding the nuclear power plant in Brokdorf, Germany, on June 7, 1986. (AP Photo/Heribert Proepper, file)

The mayor of Gundremmingen, Tobias Buehler, was asked about possible job losses at the town’s plant. He told Reuters that the center's employees would be busy taking apart the nuclear reactor after the shutdown.

"And this period of dismantling will certainly take another one or two decades," Buehler said. Germany's nuclear power companies will receive nearly $3 billion for the early closures of the plants.

Environment Minister Steffi Lemke has dismissed suggestions that a new generation of nuclear power plants might persuade Germany to reconsider its decision. “Nuclear power plants remain high-risk facilities that produce highly radioactive atomic waste,” Lemke told the Funke media group.

A final decision has not been made about where to store tens of thousands of tons of nuclear waste produced by German power plants. Experts say some material will remain dangerously radioactive for many generations.

 

 

 

 

Words in This Story

greenhouse gases – n. heat-trapping gases that warm the Earth’s atmosphere

renewable – adj. any naturally occurring kind of energy, such as sunlight or wind

dismantle – v. to take something apart so that it is in several pieces

decade – n. a period of ten years

facility – n. a part of a system or machine that makes it possible to do something

 

 

 

日本、岸田首相のエネルギー政策

河野太郎前規制改革担当相や小泉進次郎環境相が主導した菅義偉前政権下の再生可能エネルギー重視の路線はどう軌道修正されていくのでしょうか。

また、日本原燃再処理工場(青森県六ケ所村)は建設費だけで3兆円超と、既に当初の4倍になっています。これを含めて核燃料サイクルには消費者が支払う電気代を通じて16兆円が投入される計画ですが、実現が見通せない中で費用は膨らみ続けています。(出所:東京新聞11月07日2021年)

 

mainichi.jp

岸田首相は「2050年カーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)で再生可能エネルギーが基軸であることはその通りだが、電力の安定供給、価格を考えた場合に再エネ一本足打法では応えられない。ぜひ他の選択肢も必要ということで、原発もその一つとして認めている」と、従来の考えを繰り返した。

岸田首相は「まずやるべきは原発の再稼働。その次に出てくるのが40年、60年という使用期限の問題だ。古い原発を使うなら、リプレースする必要があるのではないかという議論もある。この議論をしっかり行った上で方針を決めたいが、まずは再稼働にしっかり取り組みたい」と述べた。

 

日本のエネルギー割合

↑出所:環境エネルギー政策研究所

 

f:id:flamencotan:20220106113717p:plain

出所:Sustainable Japan

老獪なドイツに学ぶべき日本のエネルギー戦略 前編 | STUDY | 原子力産業新聞

 

 

 

世界の原発利用の歴史と今

www.enecho.meti.go.jp

 

 

 

 

 

 

 

東日本大震災後、日本では、すべての原子力発電所原発)が停止しました。2017年12月現在では、5基の原発が再稼動をしています。
 

世界の原発の歴史

世界ではじめて人工的に原子炉が臨界に達する(核分裂を起こす)ことができたのは、1942年、米国シカゴ大学でのことです。1951年には、世界初の原子力エネルギーを使った発電が米国で行われました。1953年の国連総会におけるアイゼンハワー米国大統領による『Atoms for Peace』と呼ばれる演説後は、世界的に原子力平和利用への注目が高まり、1957年には軍事利用への転用を防止するための国際機関としてIAEA国際原子力機関)が設立されます。こうして、原子力の平和利用が推進され始めました。
 

1980年代:原子力利用の低迷期

そんな中、1979年、米国ペンシルバニアスリーマイル島で、原発事故が起こりました。さらに1986年、旧・ソビエト連邦(現・ウクライナ)のチェルノブイリ原発事故が起こります。

こうした事故の発生、また一方で石油を始めとするエネルギーの資源価格が安定していたこともあり、それまで原子力を利用していたものの脱原発を表明する国が現れ、米国で新規建設のプロジェクトがなくなるなど、世界各国の原発利用は停滞することとなりました。

 

1990年代~2000年代:原発への回帰

アジア地域の急速な経済成長などを背景に、世界のエネルギー需要が急増する一方、原油資源の供給は伸び悩み、エネルギーの需給はひっ迫し始めます。さらに、この頃から地球温暖化に対する問題意識が高まり、各国がCO2などの温室効果ガス排出抑制に取り組むこととなります。こうした背景から、先進国および新興国原発の建設が進められました。

2010年代~:ポスト福島

2011年、福島第一原発事故が起こりました。世界では、この事故を受け、あらためて複数の国・地域が脱原発の方針を表明しました。一方で、温暖化対策やエネルギー安全保障のために原発を選択し、引き続き利用する国が多く存在しているのも事実です。

現在の原発に対する各国のスタンスを、「現在利用しているかしていないか」「将来的に利用か非利用か」の軸で分類した図。